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第8回 飛佐 洋平さん(トップキャリアコース1期生)

今回は、塾長前田と同郷、鹿児島県出身の飛佐洋平さんをご紹介します。

一児の父でもある飛佐さん。大学院で上京、転職を経て、着実にキャリアを重ねてきた彼が、U30ギリギリでトップキャリアコースに参加した理由は……

[Text: 西岡妙子] 

一人ではできないことをチームで達成していく

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現在は、IT企業にて、プロジェクトマネジメントに従事しています。 大学院卒業後、大手電機メーカーのSIer( システムインテグレータ)として就職し、数年前に転職しました。

SIer時代は、発注者の注文に従い、契約の中でITシステムを開発していました。立場上、途中でもっといいやり方を思いついても、仕様通りに作らなければなりません。受発注という関係上、そこを、踏み越える事は難しかったです。それをどうにかしたかったけれど、個人の努力というよりはビジネスの構造上の問題なので、「意思決定をする側に回りたい、もっと事業に寄り添ったビジネスモデルを追求したい」という思いから、転職に至りました。実際発注側に回ってみると、思っていたほど自由ではないのですが(笑) 

今の業務は比較的大規模な開発で、立ち上げからリリースまでの期間が長い。そこが面白いといえば面白いのですが、振り返りや改善のスパンが長すぎて、意識的に細かく見ていくなど工夫の必要性を感じています。 

ずっとITの分野で仕事をしてきて、今は、開発だけでなくマネジメントにかかわるようになりました。組織作りとものづくりに共通する部分、また、一人ではできないことをチームで達成していくことに、魅力を感じています。 これからはIT以外の分野にも挑戦してみたいですね。 

マネジメント業務がメインになってから、学生の頃にも読んだのカーネギーの「人を動かす」のすごさを再発見して、驚かされています(笑)。本に書かれていることを実際に試してみると、ほんとにうまくいく。古典の価値を見直しました。

まだ漠然としてはいますが、将来的には今の仕事とは別に、自分で何か事業を立ち上げてみたいなと思っています。実家が鹿児島で、農業をやっているんですが、その家業を単純に継ぐのではなくて、何か違う形で貢献できないかなと考えています。 

地方の第一次産業には、家族経営の小さな事業がたくさんあって、それってものすごい資産と知識の集合体なんですよ。でも、若い人はやりたがらない。価値があるのはわかっていても、「もったいない」と思っていても、東京はじめ都市のほうが稼げるし……。僕だって、東京で働いています。

課題の根は深いですが、日本を支える基幹産業ですし、解決するだけの価値は大きいと思っています。 

休日は家族でゆっくり。子どもと遊ぶのが楽しい。

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子どもとお散歩

 

実家は鹿児島県の大隅半島にあり、中学卒業までそこで育ちました。一番近いコンビニまで10キロ。一学年30人の学校で、保育園から中学校までずっと一緒でした。今はまさに少子高齢化のど真ん中で、学校の統廃合が多く出身中学も既に廃校になっています。

畜産農家だったので、牛のお産を見たこともあります。あと、自家用のコメは家で作っているので、今も送ってもらっていて、すごく助かっています(笑)。

自然豊かな場所ですが、僕自身はインドア派で、一人遊びや工作が好きな子供でした。中学校に入って、変われるかなと思って、生徒会に立候補しましたけど、基本的にはリーダーではなくてフォロワータイプでしたね。

中学卒業後、町を出たいという思いもあって、高専に進学し、3年間は寮生活をしました。高専は結構勉強が大変で、単位落とす人も多く、留年も珍しくありません。当時はそういった状況に驚いたんですが、高専に行こうと決めるのって、14歳とか15歳なので、入学後「やりたいことと違った」と気づいて、勉強にモチベーションが保てなくなるのも無理はないかな、と今は思いますね。

その後、専攻科に2年通って、大学院で東京に進学しました。 ちょうど2011年3月11日。引っ越しが大変だったのを覚えています……。

今は妻と息子が一人、3人家族です。妻も同じ高専出身で、卒業後エンジニアとして働いていましたが、育休から復職するときに、時短など勤務形態のジョブチェンジの希望がなかなか条件が合わなくて、前ちゃん(編集部注:前田塾塾長 前田恵一)に相談して転職しました。家族共々お世話になってます。

息子には、「好き嫌い」が言える、意思をはっきり言える人になってほしいと思っています。普段、よく歌ったり踊ったりしてるので、意思表現は今のところ大丈夫そうです(笑)。それから、相手の立場に立てる思いやりのある人になってほしいですね。

共働きなので、貴重な休日は家族でゆっくり過ごしています。 子どもと遊ぶのが楽しいです。

若い世代の優秀な人たちに出会いたくて

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2011年 ビジネスメンターシップ 初日

前田塾との最初の出会いは、院生時代に見た「ビジネスメンターシップ」のFacebook広告でした。理系ってどうしても専門分野で閉じてしまうので、ビジネスに関心がある同世代のつながりを広げたい、と思って参加しました。2011年のことです。

当時の友人とは今も仲がいいし、いつか何か一緒にやりたいと思えるような仲間に出会えたと感謝しています。そして、そのあと妻の転職で前ちゃんにお世話になって、それからトップキャリアですね。 

U30なので、僕は年齢制限ギリギリでしたが、若い世代の優秀な人たちに出会いたくて、参加申し込みをしました。ITの世界では、10歳上の人より10歳下の人のほうが怖いんですよ(笑)。コンピュータ性能の向上や勉強のハードルはどんどん下がっているので、僕らが何時間もかかっていたことを、彼らは数分、あるいは一瞬でやり遂げることもあります。年下の人たちの考え方を知りたい、みんなの思考と意識に興味がありました。 

参加したいと思ってからは、家族会議です(笑)。月に2回、休日に出かけるわけですから、妻に育児を任せることになるし、予算の面でも……(笑)。でも、妻も前田塾のことはよく知っていて前田さんを信頼しているし、転職先のCEOも講師になっていることもあり、もろもろ調整して、参加できることになりました。 

受講して、様々な分野の見聞が広がりました。例えば、政治について、恥ずかしながら成人してからも「投票は行く」という程度であまり興味を持てなかったのですが、トップキャリアで意識が変わって、自分事として考えられるようになりました。 

知識習得の場ではありますが、でもスキルや知識よりは、業界を跨いだつながりが持てることが最大のメリットではないでしょうか。10年、20年と付き合っていける、一緒に仕事をしたいと思える仲間に出会えます。 

前ちゃんは、とにかく頭がいいし、回転早すぎると思うこともあるほどですが(笑)、人に寄り添い、一緒に考えてくれる人です。ただ場を転がす、回すのではなくて、一人一人の人生観を掘り下げ、向き合ってくれます。だから信頼できるんです。 

今、前田塾で開講している「ビジネス数学」や「AI」の講座もおもしろそうだと思います。もっと手前の、データサイエンス系とか、プログラミング系の講座も、とっかかりとしてニーズがあるんじゃないでしょうか。 

それから、地方の子たちにも、前田塾に出会う機会があるといい。僕は東京に出てきたからこうやって知り合うことができたけれど、能力があっても、機会が無い若い人はたくさんいる。こんなに人生が広がることも、選択肢があることも、高専のころの僕は知らなかった。 

前ちゃん本人に会えるのが一番ですけど、前ちゃんと話をするだけでも視座が上がるので、別の形でも、地方にも届くといいですね。

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東京に暮らしながらも、育った町のことはいつもどこか胸にある。

地方から都市に出てきた方は、思わず共感されると思います。

「今、自分にできること」に、地に足つけてじっくり向き合いながら、遠い故郷のこと、広い社会全体の課題を視野に入れています。

彼にとって、解決するために今やるべきことは、チームを作ること、チームの作り方を学ぶこと。それが彼の道。どこへ繋がっていくのでしょうか。

紛糾している大学入試改革によって浮き彫りになった教育と機会の格差は、実は深刻な問題です。何が必要なのか、どんな働きかけができるのかーーー前田塾も、飛佐さんから刺激をもらいました。