In Our Time | 前田塾塾生白書 ~ 仲間に出会う。時代を創る。

前田塾参加者をつなぐ 新世代型コミュニティチャンネル

第14回 岡浦 加奈さん(2013 選抜コース1期生)

今回はなんと、2013年前田塾開講時の生徒さん、つまり1期生の方がご登場。

新卒でベンチャー企業に就職し、外資系戦略コンサルティング会社に転職しご活躍されていえる岡浦加奈さんをご紹介します。

「先に大手、というのはよくあるのですが、私は逆を行きました」その理由も語ってくださいました。[Text: 西岡妙子] 

 伴走できることが成長につながっている 

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外資系戦略コンサルティング会社に勤務して4年目になります。

新卒で、当時20名程度のPR会社に就職し、2年間勤めました。最初の就職先としてベンチャーを志望したのは、自ら提案に関わり受注を受けて制作し、納品し、お金をいただく……そのお金を生み出す流れ全体の経験を積みたかったから。それを体験できそうな規模感の企業を探していて、良い出会いがありました。

そこで様々なお客様のPRやマーケティングに関わる課題解決をご支援しているうちに、その前後の工程にあるような製品開発から営業、またはより上流の経営に関わる課題も見えてくるようになりました。そういった経営全般に関わる課題解決に興味を持つようになったものの、PR会社の看板ではお客様に提案できません。それでより幅広い企業の経営課題に携わるコンサルティング業界へ足を踏み入れることにしました。経営者とともに働きたい、また、海外で働きたいという思いもあり、外資系の戦略コンサルに絞って転職活動をしました。

現在の業務は、プロジェクトベースで、1~3か月ごとにお客様が変わります。テーマはもちろん、業界も変わるので、その都度イチから勉強です(笑)。経営者の方々のお悩みに向き合うわけですから、テーマは簡単なものではないし、苦しいこともあります。毎回もうこれ以上は伸びませんというところまでストレッチをさせられるような感じです(笑)。でも、新たな意思決定がされ、変化が起きる、そのプロセスはほんとにおもしろくて、それに伴走できることが自分の成長にもつながっていると感じます。

様々な業界の方々と協働してきましたが、今関心があるのは「ヘルスケア」分野。日本のみならず、世界中の関心を集めているトピックですよね。デジタル技術の導入や新薬開発をはじめ、海外進出に挑戦する企業も多く、まさに今過渡期だなと思います。

私自身の課題は、現場チームの責任者の一人として、お客様との関係をどう作っていくか、ということ。与えられた仕事をこなすだけでは、満足する結果は得られません。お客様を巻き込み、提言を実行していただけるような流れを作っていく。毎日が挑戦です。

長期的な目標は、日々様々な業界の課題に向き合っているものの、自分の中に明確な原体験がなくて……人生を懸けて「これをやりたい・これを解決したい」というものが見えたら、大きな挑戦をしようと思っています。具体的な人生目標がない今は、むしろ、やりたいことがある人、パッションを持った経営者の右腕として、その人の夢を実現するサポートができたらいいなと思っています。国内外問わず、好きな場所で、好きな人たちと、仕事をしていきたい。夢がある人のサポートができるような武器を身に着けていきたいと思って今の自分を位置づけています。 

 人からの評価指標で 自分の人生を生きていた

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さいころはというと、当時から自立心が強く、一人でどこかに行っちゃう子でした(笑)。幼稚園のころ、必要なお金だけ持って、バスに乗って駅前の本屋さんに本を買いに行ったこともあります。料理をしたり、重い荷物を持ったりする時も、親に手伝わせない子供だったそうです。

大学に入って初めてパスポートを取得したのですが、その5日後には航空券を取って韓国に行ってきました(笑)。両親は、やりたいことにあまり反対せず、自由にさせてくれていましたが……半ば諦めていたのかもしれませんね(笑)。何も言わずに見守ってくれて、本当に感謝しています。

そんな性格ではあるものの、中高時代は真面目で、典型的な優等生タイプでした。勉強ができるという意味で目立ったがゆえに、気づかぬうちに周りの先生からの期待や、勝手に美化された優等生イメージにがんじがらめになっていて。

大学受験に失敗をして、志望校ではない大学に入学した後、偶然大学内で同じ高校の知り合いに会って「あれ、なんであの岡浦さんがこの大学にいるの?」と純粋に驚かれたことがあるんです。その時はひどく挫折感を味わいました。

でも、それがきっかけで「これで挫折感を覚えるということは、結局人からの評価指標で自分の人生を生きているんだな」と気づいたんです。「人からの期待や敷かれたレールを辿ることを自分の目標にすり替えるのは楽だけど、後で振り返った時に自分で考え納得して選んだ道だと思える人生にしないといけないな」と。

大学の友人たちが有名な大手企業に就職する中、あえて無名のベンチャーを選んだのも、こういった経験も繋がっているのだと思います。

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スロベニア ブレッド湖

プライベートは、国内外いろんなところに旅行に行っています。特に思い出に残っている国は、スロベニア。現地の方の家庭に宿泊させてもらったのですが、景色が良くて、人があたたかく、のどかで穏やかで。あくせく働くことがすべてではないと感じました。

社会人になってからは日々、平日は思いっきり働きますが(笑)、土日は月に1回は国内旅行に出かけたり、プロジェクトの合間には海外旅行に行ったり、自分が普段生活の大半を過ごすコミュニティや社会の外に出て、息が詰まらないように、そして視野が狭くならないように意識をしています。

そういった意味では、本も非日常の世界を体験できる一つの手段だと思っていますが、私の場合は基本的には仕事で必要なものを読むことに追われています。仕事関連以外で最近読んだ本の中では、巷で話題の「サード・ドア」がおもしろかったです。それこそ敢えて思い込みのレールから外れることや、人生の価値観について考えさせられました。

生き方として折に触れて読んでいるのは、「白洲次郎 占領を背負った男」という本です。学生時代、進路を考えているときに人に勧められ手に取ったのですが、彼の生き方は本当にかっこよくて、信念を持って生きていく姿にあこがれています。私の座右の銘は「意志あるところに道あり」で、まさに彼はそれを体現しているような生き方をした人なんです。

今後のプライベートについては、周りで結婚や出産を経験する人たちも増えてきて、結婚や出産、育児を自分ゴト化して考えるようになってきました。コンサルティング業界はもともと女性が少ないこともあって、職場にはワーキングマザーはそこまで多くはいません。一方で職場の海外オフィスを見てみると、子育てをしながら普通に働いている女性コンサルタントも多く在籍しています。

会社の制度の云々の問題だけではなく、日本は女性が働くための社会インフラの問題もあって、一人の力でどうにかできるものではないと思うので、いろんな人やサービスの助けをお借りしながら、両立する道を社内で作って、ロールモデルになっていければと思っています。

バックグラウンドが異なる優秀な人ばかりが集う稀有なコミュニティ

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前田塾との出会いは、7年前のこと。1期生になります。前田さんのFBの投稿を見かけて、メッセージを送ったのがきっかけです。

前田さんには、就職活動の時にお会いしていたんです。ベンチャーに就職したいと考えていたけれど、学生の目線では限られた情報の中で企業の良し悪しを判断できなかったので、友人の紹介で前田さんに相談させていただいてたんです。いつも明るい前田さんは、私にとって、ビジネス界のお父さんです(笑)。出会った当時の私が何に悩み、何を考えていたのかを、(私自身すっかり忘れていることまで)数年経った今でも覚えてくださっていたんです。ほんとに真摯に目の前の相手に向き合ってくださる方なんだなと。

当時まだ学生で、社会人になるにあたって、1社目がベンチャーということもあり、世の中の動きや経済、会計の知識など、ビジネスの基本を理解してから入社しておきたいと考えていました。

知識を求めて参加した前田塾ですが、そこで得た友人たちとのつながりは、今でも貴重です。社会人の方も多かったので、「社会人になるって、こんな感じなんだな」とイメージすることができ、いきいきと働かれている姿から、たくさん刺激を受けました。その時の前田塾同期と、転職した先で同期になったり、不思議なご縁を感じています(笑)。

また、人生や生き方について考え、視野を広げるいい機会になりました。全く違うバックグラウンドの、それも優秀な人ばかりが集まった稀有なコミュニティだったと思います。

AIから政治まで扱っているトップキャリアコース、おもしろそうですよね。前田さんからは1期の頃の前田塾とコンテンツも変わっているよ!と伺っているので、ライフステージや社内での立場が変わるタイミングで、世の中のことを学び、スキルを高めるために参加したいと思っています。

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バス代と本代だけを握りしめてたった一人でお買い物に出かけた小さな女の子が、そのまま大きくなり、世界を飛び回って仕事をしています。

今の状況からできることを探すのではなく、「やりたいこと」「在りたい姿」をまず定めて、そこにたどり着くためにとにかく動きます。でも無鉄砲すぎるわけでもなく、使える武器を集め、着実に作戦を練り、必要な荷物だけを持って……。

でもそこに至るまでには、いったん「自分」を見失い、痛い思いも体験して、「自分」に再会し、そして強くなりました。

ジェンダーバイアスが強いといわれている日本で、女性がキャリアを積みながら生きていくのは、なかなか大変なことです。でも岡浦さんは、彼女なりの答えを見せてくれるような気がしています。お話を聞いているだけで、応援したくなりますね。

当ブログの前田塾長の記事を読んで、「『寂しかったから始めた』なんて、全然気づかなかった! ちゃんとしているように見えてましたよ~」とのこと(笑)!

開講から6年、延べ4000名の方に参加いただいている前田塾。まだまだ仲間募集中です!