未来の経営人材の教養とつながりを培う場、前田塾。
今回ご紹介するのも、「U30トップキャリアコース」一期生の板倉美聡さん。
仕事も多忙を極める中、隔週日曜のトップキャリアコースを楽しみにしていたとのこと。
海外を飛び回ってきた彼女が、キャリアのスタートの地として日本を選んだ理由など、いろいろとお話を聞かせていただきました。[Text: 西岡妙子]
パッションだけじゃ、ダメなんだ。
コンサルティングサービス会社に勤務し、様々なプロジェクトに関わってきました。優秀な人が多くて、ともに働けて毎日良い刺激をもらっています。
現在の会社に就職したのは、長く勤めるというよりは、夢をかなえるためのスキルを身に着けるのが目的でした。
もともと、大学では平和構築について研究し、イギリスの大学院にも留学しました。そのあと、ギャップイヤー、いわゆるニートを1年間送り、その間海外のNGOなどでボランティア活動に参加して、いろいろな問題のまさに現場にいて、目の当たりにして、でも全然役に立てない自分にふがいなさを感じて。
帰国してから、「パッションだけじゃダメなんだ、実際に解決するための力を付けなければ……」という思いで、就活してました。
現状分析力、実行の障害となるボトルネックを見出す力などをはじめ、問題解決能力全般を成長させたいというのが、今の課題です。
ギャップイヤー中には、パレスチナ、ケニアの難民キャンプ、エジプトやヨルダンに行って、パレスチナにはNGOでインターンをさせてもらい、1か月ほど滞在しました。言語は英語も通じるのですが、当時はアラビア語も勉強していました。
ちょうど、米大使館のエルサレム移転をめぐり、大規模な抗議デモがあったころで、ガザ地区ではたくさん人が亡くなりました。私も催涙弾を浴び、人の家の中を通って逃げたり……
でも、私が住んでいたヨルダン川西岸地区は、何もなければ普段は安全で、スリもいないような治安のよいところだったんですよ。
問題を具体的に解決できる自分でありたい。
「平和構築」を専攻した理由は、中学時代、バスケ部の頃に遡ります。
小学校からバスケを始めて、高校卒業まで、バスケ部でした。バスケに、人生を賭けてましたね。今思えば「なんでそこまで……?」というくらいに(笑)
そのバスケ部で、いじめがあったんです。その時に、みんなの間に入ったけど、うまくいかなくて、「ミサトならやってくれると思ったのに……」と言われた言葉が胸に残っていて……。
それ以来、傷ついている人の気持ちに気づいて、そして問題を具体的に解決できる自分でありたいという思いがあり、今の会社でその力を付けていきたいと考えています。
プロジェクトの最中は本当に忙しくて時間がないのですが、終わるとまとまった休みが取れるので海外旅行に行くのが好きです。
あとは、友達や家族と話すこと。月イチのラクーアも(笑)
結婚については、前向きに考えていますが……将来はケニアで仕事をしたい、という思いもあって、調整が難しくて……(笑)
子どもは、今のところは、自分の子どもがほしいというのがあまりなくて。世界中に、たくさんいるし(笑)。でも、この考えは時がたてば変わるかもしれませんね。
幅広い世界を見せてくれた前田塾「トップキャリアコース」
前田塾のことは、周りに行ってる人がいたので、何となく知っていました。
日本に帰国して、就活しようと思ったときに、ビジネスに疎いのをどうにかしたくて、選抜コース*1に通いました。
学生や若手社会人向けにビジネス素養を講義するような場が、他にあまりなかったのでここしかない、と思ったんです。お恥ずかしい話ですが、株とか、仕組みとか、経済の基本的なことがそこでやっと分かりました。
そのあと、トップキャリアコースには、入社とほぼ同時に通い始めました。
仕事が忙しすぎて、仕事以外のことが何もできなくなりそうだったので、自分のために、土日に勉強する時間を確保しておきたかったんです。
コンサルという職業柄、いろんな業界と一緒にお仕事しますが、トップキャリアコースはそれ以上に、短期間でぎゅっと、幅広い世界を見せてくれました。
また、一緒に学んだ仲間も、幅広いジャンルから来た人たちで、ずいぶん助けてもらいました。
入社して1年くらい仕事して、自分の強みが分かってきて少し余裕ができた頃に参加するといいかなと思います。今の私なら、もっと議論に貢献できたと思うから。
塾長の前ちゃんは、「少年」ですね。「永遠の少年」(笑)
言葉がキレキレで、人をモチベートする力がある。前ちゃんの一言があるだけで、独学よりも断然、内容の吸収率が上がります(笑)
前田塾の講義はほぼ網羅してしまったのですが、今は「ブロックチェーン」とか「暗号通貨」に関心があります。講義の開催を希望します!
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つぶやくように言った「世界中に子どもはいるので……」という言葉が、強く印象に残りました。
ひとつひとつの質問について、ひと呼吸置いてじっと考え、物腰柔らかくゆっくりした口調で端的に答えてくれた板倉さん。
その内容は、困っている人がいると知っていながらも、課題の大きさに圧倒され、目を背けてしまいがちな、世界の問題。催涙弾も、ケニアも、「今、日本に生きる私たちには、遠い遠いどこかの国の物語」と感じている人がほとんどでしょう。
「平和」という大きなテーマに挑みつつも、声高に叫ぶことはしない。地道なフィールドワークを体験を積み重ねてきた彼女の言葉だからこそ、ただの夢物語のようには聞こえません。
彼女なら着々と実現するだろうという説得力があり、言葉に芯の強さと光を感じました。
*1:現在は開催していません。