In Our Time | 前田塾塾生白書 ~ 仲間に出会う。時代を創る。

前田塾参加者をつなぐ 新世代型コミュニティチャンネル

第17回 鶴野 直子 さん(U30トップキャリアコース 1期生)

U30トップキャリアコースの女性の参加者は全体の2割。

日本のキャリア問題を反映しているかのような数字ですが、前田塾では、性別も年齢も、学歴も所属も関係なく、属性から解放されて「本人」だけで勝負。

子どもの頃のように全く対等に、楽しく共に学び、知性を磨きます。

今回は、大手外資系コンサルから国内メーカーに転職、管理職就任という異例のキャリアの鶴野直子さんをご紹介します。

このままじゃいけない、新しいことに挑戦したい 

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2014年に新卒で就職したグローバル戦略コンサル企業から転職して、現在は日本の工具メーカーに勤めています。

大学に入る前は、国家公務員になりたいと考えていたのですが、兄が実際公務員として勤務している姿を見ていて、キャリアアップの手堅いルートがあるようなので「私には合わないかな、途中でドロップアウトしそうだな」と思うようになりました。

一つの組織の中でキャリアを積んでいくイメージが自分の中になくて、組織を変えながら生きていく方が性に合ってるかな、と。

それで、コンサルを志望して就職活動しました。もともと課題解決を考えるのが好きなので、仕組みを変えたり、新しい仕組みを作ったりということに興味がありました。前職の戦略コンサルは、面接官とのフィット感もばっちりで、就職試験がすごくおもしろくて、勉強になったんです。試験後、すがすがしい疲れの中で、「落ちても満足だな」と思いました。

結局内定をいただいて、即決しました。社風が合っていたんですね。

そしてコンサルタントとしてクライアントに関わっている中で、自社の商品を我が子のように愛しているクライアントさんの姿を見て、やっぱり私も事業会社で働いてみたいと思うようになりました。サービス系やITではなく、物理的なモノづくりに関わってみたかった。そして、一般消費者、つまり市井の人々を対象にしたBtoCビジネスが好きなんです。

プロジェクトベースで動く前職から事業会社に移ると、スピード感が物足りなく感じることがよくあるそうですが、現業はファンドが入っていることもあり、スピードは十分維持されていると感じます。

実は、私が転職してすぐは、動きがゆったりしていて内心焦っていたのですが、ファンドが入ってから会社のトップ層がガラッと変わり、改革がどんどん進んできました。

特に2019年はCEOが変わり、「こんなに変わるとは!」と思うほどの変革がありました。意志あるトップ層の責任感と役割の重要さを目の当たりにして、将来は私も改革ができる層になっていきたいと考えています。もちろん手を動かす現場ももちろん必要ですが、彼らにこれからどこに行こうとしてるのかを伝え、納得してもらいながら、改革を進めていきたい。

現在、企画戦略を担当していて、営業戦略やチャネル戦略を立案しています。需要や売上、在庫管理、生産を平準化するためのルート戦略を検討したり、何をどこにいくつセールスするのかを考えたり、ビジネスの数字を日々作っていることを実感しています。

課長になったので、年上の部下の方もいます。プロパーの社員さんに対しては、ついつい遠慮してしまいそうになりますが、それはかえってよくない、と踏ん張っています。すごく鍛えられますね。商品知識はプロパーの方のほうがあるので、現場の方の声を聴きながら、新しい経営層が目指す世界と現場からのリアルな声をつないでいけたらと思っています。
中途入社組の私は、プロパー社員さんががっかりされないように、「この会社をよくするために来たんだよね?」という期待に応えていきたいと思っています。「中途で来た人」と思われて、終わってしまわないように。会社になじんで終わり、というのは嫌なんです。「なじみたい」と思ったら辞め時かも知れません(笑)

プロジェクトベースで常に全力疾走だった前職では、とにかくロジカルであることが求められていました。決して苦手な分野ではなかったのですが、自分でそれが強みだとわかっていなかった。

自分に自信が持てなくて、高評価をいただいても「女性だから甘くされたかな?」などとなんとなく素直になれなくて、自己嫌悪や否定感が強かったのですが、今はそう思ってしまったとしても、「それも含めて私」と思えるようになりました。できないところばかりが目について、完璧主義だったんです。

自分のペースで、自分のやっていることをひとつひとつ認められる、今の自分の方がいいな、と自分でも思います。年齢とともに成長した部分もあると思います。

現職で、日本全国の営業所を回っていて、都会と地方に差があることに気づきました。経済というよりも、ビジネスの知識や技術、環境の格差ですね。地方の中小企業には、能力があって勤勉でも、環境のせいで限界があり、どうにもならなくて苦労している人がいます。そういう人々が、正当に報われるべきだと思っています。

問題が解けたときのスッキリ感がすごく嬉しい

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さいころは、とにかく負けず嫌いな子どもで、男子と喧嘩ばかりしてました(笑)感情が激しくて、よく泣いてよく笑ってよく怒って。悔しくて泣いちゃうこともしょっちゅう……それは今でもかな(笑)。

負けず嫌いな半面、負けそうなものにははじめから取り掛かれない、臆病な部分もあって。「挑戦してダメなこともある、合わないだけ。勝ち負けじゃない」とだんだんと思えるようになったのですが。

ずっとピアノを習っていて、小学校で金管バンドでトランペット。中高は私立の女子高で、オーケストラでビオラを弾いていました。メロディーラインじゃなくて、伴奏をやってみたかったんです。オケはその後、大学でも続けました。中高では部長、大学では団体責任者に就き、みんなが居やすい場づくりを考えるのが好きでした。今も市民オケで弾いています。

好きな曲は、ベルリオーズの「幻想交響曲」、チャイコフスキーの「冬の日の幻想」や「小ロシア」。「小ロシア」は、先輩たちの演奏で、人生で初めて聞いたシンフォニーです。それからドボルザークの7番、8番も。これは高1、高2で弾いた曲。どの曲も、青春と結びついて、忘れがたいですね。

小学生のころから国語が得意で、どちらかというと算数が苦手。本を読むのは今でも好きで、今は勉強もかねて需要予測の本を読んだりもしていますが、小説もよく読みます。

小野不由美の「十二国記」シリーズの新刊は、出て2日で読み切りました。ファンタジーの中に、生きる上での大事な要素……信頼や、裏切りなど、日ごろに置きかけられる問いかけがたくさん含まれている、すごい作品だと思います。小学生のころよく読んでいたのは吉本ばななの「TSUGUMI」。生と死、どう生きるかを考えさせられ、学生のころは毎年1~2回、読み返していました。

ちょっと前までは「脱出ゲーム」にはまって、100回以上参加しました。成績をエクセルで管理するほどはまってました(笑)。トップキャリアコースの仲間と参加したこともあって、それがたまたまテレビに取材されたんですよ(笑)。何回も参加していると、パターンが読めてきそうに思えるのですが、やはり一筋縄ではいかない。ひらめきが必要なんです。考えるのが好きなんですよね。問題が解けたときのスッキリ感が、すごく嬉しいんです。

社会人になってから、美術に興味が出てきて、西洋と日本の美術史を勉強しています。何も知らずに、自分の感性だけで美術鑑賞するのもいいものですが、背景や流れを把握してから見ると、より深く味わうことができます。美術作品も経営課題の解き方も、時代によって評価されるか否かが変わる。時代の寵児として光が当てられていた人が、社会情勢の変化によって一転、影となることもありますよね。アートとコンサルは、似ていると思います。

小学生の時には良妻賢母を夢見ていましたが、結婚や出産については、今はまったく意識していません。というのも、私は考えるとそれに縛られてしまうタイプなので、あえて考えないようにしているんです。生物的な出産リミットはあるものの、生涯仕事は続けていきたいので、その時々の状況や人との出会いで、考えていきたいと思っています。

「大多数の生き方から外れても、人と人と違うなら違ったとしても、わたしには価値があると思えればいいじゃないか」と、考えられるようになったのは、私なりの成長だと思います。

とりあえずサバイブしていける

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トップキャリアコースのことは、前ちゃんのFacebookフィードを見て知りました。学生時代に、前ちゃんのホームパーティーで知り合っていたのですが、その時には「ただの飲んだくれ」と思ってました(笑)

職業や職種の違う人、価値観の違う人に出会いたいと思っていたんです。これまでの経験から、「環境は人を作る。それは大人になっても同じだ」と考えていました。職場環境の違う人の思考に触れてみたかった。

私はもともと、自己肯定感が低くて、根暗で引きこもり系なんです(笑)。一人でいくらでも過ごすことができます。だから、外に出ることを敢えて意識していないと、家にこもっちゃう。ただ、これまでも「意識して頑張って外に出て、結果良かった」ということが多かったのも事実です。なので、トップキャリアの参加についても、自分で自分で刺激を与えるという意味もありました。

「目の前の気になることをとにかくやってみよう」と思っていたので、自己投資は惜しみたくなくて、すぐに申し込みました。

参加して、関心分野が広がったし、期待した通り、本当にいろんな人に出会えました。思考の違いは言葉の選び方一つ一つに出てきていて、毎回議論したり話を聞いたりするのに飽きなかったです。例えば、公務員として働いていたある人は、「日本人として~」と話始めたりするのですが、私はそんなことを考えたこともなかったから。

今、自分の状況に「これでいいのかな?」と疑問がある人、自分で自分が何をどう考えているのかを知りたい、自分を客観視し、相対化したい人は、ぜひ参加したらいいと思います。同世代の異業種がこんなに集まることは、他にはないですから。転職を考えている方にもお勧めします。会社でなければ学べないこともあるけれど、会社の外でなければ学べないこともあります。

前ちゃんは、やっぱり「よく飲んでるな~」と思います(笑)そして、「自分が楽しいことをやろう」ということがちゃんとできている大人だな、と思います。大人になると、「こうしなければ」が増えてきて、私はそれが窮屈で苦しくなるタイプなのですが、前ちゃんは自由にいろいろ楽しんでる。「それもいいのかな」と思わせてくれる、良い見本です。

トップキャリアコースで、いろいろと戦う力が身に付きました。とりあえずサバイブしていけるんじゃないかな、と思っています。 

maedajukutop.biz

 

 

20代で年上の部下がいる管理職。

一見順風満帆の超人ですが、「まだ足りないのでは?」と不安を感じたり、「過大評価されている」と感じてしまったり……「私はわたし」にたどり着くまでには、苦悩のときがあった鶴野さん。

「成長したんですよ。まだまだ、ですけど」と、笑顔で語ってくれました。

「考えて考えて、解けてスッキリするのが好き!」という彼女の性格が、とことん自分に向き合う力になり、そのまま仕事、そしてキャリア形成に生きていますね。

仕事の話はもちろん、趣味のクラシックや脱出ゲームにいたるまで、彼女独自のアンテナにかかったものについての話題も広がり、興味深い話が尽きないインタビューでした。

第15回 中西一貴さん(2019秋合宿・トップキャリアU30 3期生)

前田塾秋合宿に参加し、新年からトップキャリアコースを受講予定の中西一貴さんは、医学部の3年生。

武者修行、そして前田塾で、大きく変化したことを語ってくださいました。

 

「どんな世界が見たいか」という観点から、キャリアを考える

f:id:mizugame23:20191215194533j:plain現在、医学部の3年生です。これまで医学の初歩の初歩ともいえる原理を学んできて、これから臨床医学に入ります。

父が医者なので、小さいころからなんとなく、大人になったら医療関係に、と思っていました。憧れというほどのものでもなくて、なぜか普通そういうものなんだと思っていたんですよね。

同時に、医者になって一人一人の患者さんに関わるよりは、大きな影響のあることをやりたいという思いもありました。高校生のころに「医系技官」という職業を知り、それならば医療の世界で自分の働きかけが大きく響くような、そんな仕事ができると思い、目指すようになりました。それがわざわざ東京に来た理由でもあります。

でも大学に入学して勉強して、いろんな活動に関わってくるうちに、また将来の展望が変わってきて、今は、「自分が何をしたいか、どうなりたいか」ということよりも「どんな世界が見たいか」という観点から、キャリアを考えるようになったのです。

学部で「食生活」に関する栄養学の研究に触れて、その研究がまだまだ発展途上であることに気づきました。今、病気で病院にかかったときに、投薬や運動をすすめることはあっても、食事指導ってあまり強くはされないですよね。それってまだざっくりと「この食事は健康的だ」と言うことはわかっていても、例えば「こう言う状況の時は特にこの栄養素の摂取に気をつけなければいけない」といったことが厳密にはわかっていない、という現状があると思うんです。

そして、栄養学はただ研究をすれば良いというものでもなく、伝えて、実践してもらわないと意味がない。

高騰し続ける日本の医療費の中で、2大巨頭と言われるのが糖尿病と骨粗しょう症です。いずれも、食事がとても重要なファクターであり、食事に気を付けていれば未病の段階で防げる可能性が高いものです。引いては、医療費の削減にも貢献できますよね。

……ということを誰もが頭では知っていながらも、なかなか行動にはつながらない。医者が食事についてのアドバイスをしても、患者さん自身に実感がなければ、行動はしない。逆に言えば、それが分かれば、行動変容につながると思うんです。

最新の精度の高い情報がもっと共有され、実際の行動に移されるように、進歩し続けるデジタル技術が生み出す、新しい社会に関わることをイメージしています。

学業面ではその目標に向けて、キャリアにつなげて行きたいと考えています。

他にもいろいろやる中で、なんだかあわただしくて……毎日の整ったリズムを作ることが、今の自分の課題ですかね(笑)。

ひとつは、大学受験塾での講師業。化学を教えています。高3担当なので、結果に繋げなければいけないから、絶対手を抜けなくて、生徒との真剣勝負。なかなか責任重大です。でもそんな生徒から自分がもらうものも少なくなく、とてもやりがいを感じています。

もう一つは、「知るカフェ」というカフェの店員。ちょっと変わったカフェで、学生が主体となって運営を行っています。普通のカフェ店員の様にホールスタッフもしますが、お店のシステム作りや経営のお手伝いなど運営業務も担当しています。

shirucafe.com

それから、旅武者の営業インターン。旅武者で人生が変わったという人はたくさんいるけれど、僕もその一人です。大げさに言うならば、それまでの僕は殻に閉じこもっていて……全部、何でも、一人でやろうと思っていた。周りにそういわれていたわけでもないのに、「自分でできなきゃだめだ」と思い込んでいたし、できないことも認めたくなかった。それを壊してくれたのは武者修行、そして前田塾なんです。

mushashugyo.jp

ずっと一人だった

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僕自身、小さいころから、「ずっと一人だった」という印象があります。いじめられてた、ということではないのですが、そういう気持ちだったことが思い出されます。

漫画を読むのが好きで、特に好きなのはあだち充作品。テレビで見た『クロスゲーム』をきっかけに、有名どころはほぼ全作読んでますね。主人公が努力して強くなって、結果が結びついて行くというストレートなストーリーはもちろん、時間があったら喫茶店に行ってのんびりするような、昭和ののどかな日常の雰囲気がいいなあと思います(笑)。キャラクターの間に少しずつ関係性が育っていく群像劇が丁寧に描かれていることも魅力です。

中高はとにかく自由な学校でした。僕は、生徒会や文化祭など、イベントに関わっていました。学校から1千万の予算を預かって、それを各部活に振り分ける予算委員会という活動では、各部との丁々発止の折衝が面白かったです。

大学では「競技かるた」の同好会に入り、真剣に挑戦しました。医学部だけの部活では交友関係が狭くなるので、全学部のサークルがいいなと思っていたので。秋からの参加だったのに温かく受け入れてくれた皆には今でも感謝しています。大会で日本全国を回り、A級が取れたので引退しましたが、今でも「趣味・特技」と言われれば、「カルタ」。

「玉の緒よ」という札が好きですね。これは「決して明るみに出してはいけない想いだけれども、これ以上生きていたら表に出てしまうのでもう生きていられない」という激情の句で、何か共感できるものがあります。

玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば 忍ぶることのよわりもぞする

式子内親王(89番)新古今集』恋一・1034

ただ、そんなことは試合中は考えないですね。何なら強い人ほどあんまり意識してない印象があります(笑)。試合中はシンプルな音の聴きやすさみたいなことしか頭にありません。それでいうなら、「ゆふされば」の札が好きです。A級に上がった大会の最後の一枚も「ゆふされば」でした。

夕されば門田の稲葉おとづれて 芦のまろやに秋風ぞ吹く

大納言経信(71番)『金葉集』秋・183

 他には、ジム通いが、心身ともに良いリフレッシュになります。数字として記録できるものが好きなんですよ。データで出るから、目に見えて変化が分かる。それがやりがいになります。データとか数字とか、結局好きなんですよね(笑)。

最近は読書も好きで、最近良かった本は孫正義の「志高く」。ビジネス書や実用書をよく読みます。でも、本棚の一番上は、あだち充コレクションです!(笑) バイトするようになってから大人買いして、ほぼコンプリートしています。

このインタビューの「結婚や育児について」という質問事項を見て……思わず目を背けてしまいました(笑)。うーん、ほんとに、難問ですよね。30までに結婚はしたいと思っているんです。でも、子育てができるかどうか。パートナーに丸投げする気はなくて、だからこそ、自分のキャリアプランとの兼ね合いが本当に難しい……。

ちょっとだけ考えて、とりあえず料理はできるようになろうと、ABCクッキングに通ったんですけどね。30回通って、簡単なものなら一通り作れるようになったんですよ……って、問題はそこじゃないんですよね(笑)。でも、とりあえず(笑)。

まだまだ道の途中だけど、人間としてようやくここまでこれた

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前田塾のことは、FBの友達の投稿で知っていました。その友人は幼馴染で、小4の時に彼が転校してそのまま疎遠になっていたのですが、大学生になってからまた出会って、そしたら彼が武者修行・前田塾と参加していたんです。彼がとにかくほめちぎっていたので、武者修行と秋合宿に参加申し込みをしました。

申し込み時点では、知らない領域の学問に出会えることは期待していたけれど、チームで学ぶという手法には、まったく興味がなかったんです。

前ちゃんの第一印象は、「エラいちゃらんぽらんで、ユルい人だな」(笑)。でも、そのあとの講義の時には、「クソみたいな議論しやがって!」って怒られて、「言葉遣いワル!」って思って(笑)。でも、その時は真剣な姿勢の、普段とのギャップに驚きました。

合宿でもそうなのですが、一人一人がどういう状況なのか、どういう段階でどういう性格か、ちゃんと見てくれている人です。一人一人に成長や変化がもたらされるように、働きかけてくれて、そして、チームで取り組むということの意義を教えてくれました。

武者修行を終えて前田塾合宿に参加する時には、チームの力を知っていたので、それをもっと深めたいという意識になっていました。そして、仲間を信頼し、「わからない」を言いあえて、かつてないくらいいいチームワークができ、とても充実した体験だったと思います。

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2019年 秋合宿

以前の僕がまさにそうだったのですが、「自分は一人で何でもできる」と思っている人に、ぜひ前田塾でのチームワークの体験をしてもらいたい。個人のスペックが高いならなおさら、誰かと組んで、チームで学ぶとすごい力になるんです。……でも、個人でわりと何でもできる人ほど、「チームの力」という言葉が響かないんですよねえ~(笑)。学部の友達にも勧めているけれど、「いや、独学の方が早いから」みたいな感じで……。教わらずにできることに価値があると思ってる、というのもあるのかな……。

武者修行や前田塾に出会う前の僕は、「もっと立派な人間に」という思いはあったけれど、それは独力でかなえられる、と思っていたんです。そんな僕に、周囲の、例えばカフェのメンバーが、輪に入れようと手を差し伸べてくれていた。でも僕は、彼らの気づかいや優しさにも、気づかずにいて、あまり大事にしていなかったんです。

ビジネスを学ぼうと思って参加した武者修行と前田塾で、人との関わり方を教えてもらって、そのことに気付けて、そして周りへの感謝が少しはできるようになりました。昔は、「周りに感謝しなさい」とか言われても、「よくある話」や「きれいごと」くらいにしか思っていなかったけれど、少しずつそれがわかるようになって来たかな、と。まだまだ道の途中だけど、人間としてようやくここまでこれた、という思いです。

医学部というのは、専門性が高い分、閉鎖したコミュニティーになりがち。ここに来て、まだまだ知らないことが無限にあることを知った。だから、今はまだ、意識して積極的に、知らないところに足を踏み入れて、もっといろんなところに行きたいと思っています。来年から、トップキャリアコース3期に参加します。どんな仲間に出会えるか、今からとても楽しみにしています。

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「ずっと一人だ」という内面を抱えながら、あだち充の描く日常の風景に惹かれていたという中西さん。複雑に絡み合う登場人物たちの関係性、「チーム」「コミュニティ」という在り方に、憧れに似た直感があったのかもしれません。

自分でなんでもできる人ほど、「誰かに助けてもらう」ためのきっかけを、若いうちに得ることが難しい。相談したり、頼ったりする機会も少なくなりがちです。さらに年を取れば取るほど、人に甘えることができなくなってくる。

殻を破らさせられるような経験を経て肩の力が抜けたとき、「ずっと一人」ではなかったことに気付き、周りにいる他者の存在を感じた。そんなたった数か月前の自分自身を、懐かしむように語ってくれました。

この「変化」は、十年、二十年と年を経るごとに、価値を増してくるでしょう。

「他者とともに在る」ということが、この世界を豊かにしてきました。大切にしていきたいですね。

第14回 岡浦 加奈さん(2013 選抜コース1期生)

今回はなんと、2013年前田塾開講時の生徒さん、つまり1期生の方がご登場。

新卒でベンチャー企業に就職し、外資系戦略コンサルティング会社に転職しご活躍されていえる岡浦加奈さんをご紹介します。

「先に大手、というのはよくあるのですが、私は逆を行きました」その理由も語ってくださいました。[Text: 西岡妙子] 

 伴走できることが成長につながっている 

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外資系戦略コンサルティング会社に勤務して4年目になります。

新卒で、当時20名程度のPR会社に就職し、2年間勤めました。最初の就職先としてベンチャーを志望したのは、自ら提案に関わり受注を受けて制作し、納品し、お金をいただく……そのお金を生み出す流れ全体の経験を積みたかったから。それを体験できそうな規模感の企業を探していて、良い出会いがありました。

そこで様々なお客様のPRやマーケティングに関わる課題解決をご支援しているうちに、その前後の工程にあるような製品開発から営業、またはより上流の経営に関わる課題も見えてくるようになりました。そういった経営全般に関わる課題解決に興味を持つようになったものの、PR会社の看板ではお客様に提案できません。それでより幅広い企業の経営課題に携わるコンサルティング業界へ足を踏み入れることにしました。経営者とともに働きたい、また、海外で働きたいという思いもあり、外資系の戦略コンサルに絞って転職活動をしました。

現在の業務は、プロジェクトベースで、1~3か月ごとにお客様が変わります。テーマはもちろん、業界も変わるので、その都度イチから勉強です(笑)。経営者の方々のお悩みに向き合うわけですから、テーマは簡単なものではないし、苦しいこともあります。毎回もうこれ以上は伸びませんというところまでストレッチをさせられるような感じです(笑)。でも、新たな意思決定がされ、変化が起きる、そのプロセスはほんとにおもしろくて、それに伴走できることが自分の成長にもつながっていると感じます。

様々な業界の方々と協働してきましたが、今関心があるのは「ヘルスケア」分野。日本のみならず、世界中の関心を集めているトピックですよね。デジタル技術の導入や新薬開発をはじめ、海外進出に挑戦する企業も多く、まさに今過渡期だなと思います。

私自身の課題は、現場チームの責任者の一人として、お客様との関係をどう作っていくか、ということ。与えられた仕事をこなすだけでは、満足する結果は得られません。お客様を巻き込み、提言を実行していただけるような流れを作っていく。毎日が挑戦です。

長期的な目標は、日々様々な業界の課題に向き合っているものの、自分の中に明確な原体験がなくて……人生を懸けて「これをやりたい・これを解決したい」というものが見えたら、大きな挑戦をしようと思っています。具体的な人生目標がない今は、むしろ、やりたいことがある人、パッションを持った経営者の右腕として、その人の夢を実現するサポートができたらいいなと思っています。国内外問わず、好きな場所で、好きな人たちと、仕事をしていきたい。夢がある人のサポートができるような武器を身に着けていきたいと思って今の自分を位置づけています。 

 人からの評価指標で 自分の人生を生きていた

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さいころはというと、当時から自立心が強く、一人でどこかに行っちゃう子でした(笑)。幼稚園のころ、必要なお金だけ持って、バスに乗って駅前の本屋さんに本を買いに行ったこともあります。料理をしたり、重い荷物を持ったりする時も、親に手伝わせない子供だったそうです。

大学に入って初めてパスポートを取得したのですが、その5日後には航空券を取って韓国に行ってきました(笑)。両親は、やりたいことにあまり反対せず、自由にさせてくれていましたが……半ば諦めていたのかもしれませんね(笑)。何も言わずに見守ってくれて、本当に感謝しています。

そんな性格ではあるものの、中高時代は真面目で、典型的な優等生タイプでした。勉強ができるという意味で目立ったがゆえに、気づかぬうちに周りの先生からの期待や、勝手に美化された優等生イメージにがんじがらめになっていて。

大学受験に失敗をして、志望校ではない大学に入学した後、偶然大学内で同じ高校の知り合いに会って「あれ、なんであの岡浦さんがこの大学にいるの?」と純粋に驚かれたことがあるんです。その時はひどく挫折感を味わいました。

でも、それがきっかけで「これで挫折感を覚えるということは、結局人からの評価指標で自分の人生を生きているんだな」と気づいたんです。「人からの期待や敷かれたレールを辿ることを自分の目標にすり替えるのは楽だけど、後で振り返った時に自分で考え納得して選んだ道だと思える人生にしないといけないな」と。

大学の友人たちが有名な大手企業に就職する中、あえて無名のベンチャーを選んだのも、こういった経験も繋がっているのだと思います。

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スロベニア ブレッド湖

プライベートは、国内外いろんなところに旅行に行っています。特に思い出に残っている国は、スロベニア。現地の方の家庭に宿泊させてもらったのですが、景色が良くて、人があたたかく、のどかで穏やかで。あくせく働くことがすべてではないと感じました。

社会人になってからは日々、平日は思いっきり働きますが(笑)、土日は月に1回は国内旅行に出かけたり、プロジェクトの合間には海外旅行に行ったり、自分が普段生活の大半を過ごすコミュニティや社会の外に出て、息が詰まらないように、そして視野が狭くならないように意識をしています。

そういった意味では、本も非日常の世界を体験できる一つの手段だと思っていますが、私の場合は基本的には仕事で必要なものを読むことに追われています。仕事関連以外で最近読んだ本の中では、巷で話題の「サード・ドア」がおもしろかったです。それこそ敢えて思い込みのレールから外れることや、人生の価値観について考えさせられました。

生き方として折に触れて読んでいるのは、「白洲次郎 占領を背負った男」という本です。学生時代、進路を考えているときに人に勧められ手に取ったのですが、彼の生き方は本当にかっこよくて、信念を持って生きていく姿にあこがれています。私の座右の銘は「意志あるところに道あり」で、まさに彼はそれを体現しているような生き方をした人なんです。

今後のプライベートについては、周りで結婚や出産を経験する人たちも増えてきて、結婚や出産、育児を自分ゴト化して考えるようになってきました。コンサルティング業界はもともと女性が少ないこともあって、職場にはワーキングマザーはそこまで多くはいません。一方で職場の海外オフィスを見てみると、子育てをしながら普通に働いている女性コンサルタントも多く在籍しています。

会社の制度の云々の問題だけではなく、日本は女性が働くための社会インフラの問題もあって、一人の力でどうにかできるものではないと思うので、いろんな人やサービスの助けをお借りしながら、両立する道を社内で作って、ロールモデルになっていければと思っています。

バックグラウンドが異なる優秀な人ばかりが集う稀有なコミュニティ

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前田塾との出会いは、7年前のこと。1期生になります。前田さんのFBの投稿を見かけて、メッセージを送ったのがきっかけです。

前田さんには、就職活動の時にお会いしていたんです。ベンチャーに就職したいと考えていたけれど、学生の目線では限られた情報の中で企業の良し悪しを判断できなかったので、友人の紹介で前田さんに相談させていただいてたんです。いつも明るい前田さんは、私にとって、ビジネス界のお父さんです(笑)。出会った当時の私が何に悩み、何を考えていたのかを、(私自身すっかり忘れていることまで)数年経った今でも覚えてくださっていたんです。ほんとに真摯に目の前の相手に向き合ってくださる方なんだなと。

当時まだ学生で、社会人になるにあたって、1社目がベンチャーということもあり、世の中の動きや経済、会計の知識など、ビジネスの基本を理解してから入社しておきたいと考えていました。

知識を求めて参加した前田塾ですが、そこで得た友人たちとのつながりは、今でも貴重です。社会人の方も多かったので、「社会人になるって、こんな感じなんだな」とイメージすることができ、いきいきと働かれている姿から、たくさん刺激を受けました。その時の前田塾同期と、転職した先で同期になったり、不思議なご縁を感じています(笑)。

また、人生や生き方について考え、視野を広げるいい機会になりました。全く違うバックグラウンドの、それも優秀な人ばかりが集まった稀有なコミュニティだったと思います。

AIから政治まで扱っているトップキャリアコース、おもしろそうですよね。前田さんからは1期の頃の前田塾とコンテンツも変わっているよ!と伺っているので、ライフステージや社内での立場が変わるタイミングで、世の中のことを学び、スキルを高めるために参加したいと思っています。

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バス代と本代だけを握りしめてたった一人でお買い物に出かけた小さな女の子が、そのまま大きくなり、世界を飛び回って仕事をしています。

今の状況からできることを探すのではなく、「やりたいこと」「在りたい姿」をまず定めて、そこにたどり着くためにとにかく動きます。でも無鉄砲すぎるわけでもなく、使える武器を集め、着実に作戦を練り、必要な荷物だけを持って……。

でもそこに至るまでには、いったん「自分」を見失い、痛い思いも体験して、「自分」に再会し、そして強くなりました。

ジェンダーバイアスが強いといわれている日本で、女性がキャリアを積みながら生きていくのは、なかなか大変なことです。でも岡浦さんは、彼女なりの答えを見せてくれるような気がしています。お話を聞いているだけで、応援したくなりますね。

当ブログの前田塾長の記事を読んで、「『寂しかったから始めた』なんて、全然気づかなかった! ちゃんとしているように見えてましたよ~」とのこと(笑)!

開講から6年、延べ4000名の方に参加いただいている前田塾。まだまだ仲間募集中です!