In Our Time | 前田塾塾生白書 ~ 仲間に出会う。時代を創る。

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第15回 中西一貴さん(2019秋合宿・トップキャリアU30 3期生)

前田塾秋合宿に参加し、新年からトップキャリアコースを受講予定の中西一貴さんは、医学部の3年生。

武者修行、そして前田塾で、大きく変化したことを語ってくださいました。

 

「どんな世界が見たいか」という観点から、キャリアを考える

f:id:mizugame23:20191215194533j:plain現在、医学部の3年生です。これまで医学の初歩の初歩ともいえる原理を学んできて、これから臨床医学に入ります。

父が医者なので、小さいころからなんとなく、大人になったら医療関係に、と思っていました。憧れというほどのものでもなくて、なぜか普通そういうものなんだと思っていたんですよね。

同時に、医者になって一人一人の患者さんに関わるよりは、大きな影響のあることをやりたいという思いもありました。高校生のころに「医系技官」という職業を知り、それならば医療の世界で自分の働きかけが大きく響くような、そんな仕事ができると思い、目指すようになりました。それがわざわざ東京に来た理由でもあります。

でも大学に入学して勉強して、いろんな活動に関わってくるうちに、また将来の展望が変わってきて、今は、「自分が何をしたいか、どうなりたいか」ということよりも「どんな世界が見たいか」という観点から、キャリアを考えるようになったのです。

学部で「食生活」に関する栄養学の研究に触れて、その研究がまだまだ発展途上であることに気づきました。今、病気で病院にかかったときに、投薬や運動をすすめることはあっても、食事指導ってあまり強くはされないですよね。それってまだざっくりと「この食事は健康的だ」と言うことはわかっていても、例えば「こう言う状況の時は特にこの栄養素の摂取に気をつけなければいけない」といったことが厳密にはわかっていない、という現状があると思うんです。

そして、栄養学はただ研究をすれば良いというものでもなく、伝えて、実践してもらわないと意味がない。

高騰し続ける日本の医療費の中で、2大巨頭と言われるのが糖尿病と骨粗しょう症です。いずれも、食事がとても重要なファクターであり、食事に気を付けていれば未病の段階で防げる可能性が高いものです。引いては、医療費の削減にも貢献できますよね。

……ということを誰もが頭では知っていながらも、なかなか行動にはつながらない。医者が食事についてのアドバイスをしても、患者さん自身に実感がなければ、行動はしない。逆に言えば、それが分かれば、行動変容につながると思うんです。

最新の精度の高い情報がもっと共有され、実際の行動に移されるように、進歩し続けるデジタル技術が生み出す、新しい社会に関わることをイメージしています。

学業面ではその目標に向けて、キャリアにつなげて行きたいと考えています。

他にもいろいろやる中で、なんだかあわただしくて……毎日の整ったリズムを作ることが、今の自分の課題ですかね(笑)。

ひとつは、大学受験塾での講師業。化学を教えています。高3担当なので、結果に繋げなければいけないから、絶対手を抜けなくて、生徒との真剣勝負。なかなか責任重大です。でもそんな生徒から自分がもらうものも少なくなく、とてもやりがいを感じています。

もう一つは、「知るカフェ」というカフェの店員。ちょっと変わったカフェで、学生が主体となって運営を行っています。普通のカフェ店員の様にホールスタッフもしますが、お店のシステム作りや経営のお手伝いなど運営業務も担当しています。

shirucafe.com

それから、旅武者の営業インターン。旅武者で人生が変わったという人はたくさんいるけれど、僕もその一人です。大げさに言うならば、それまでの僕は殻に閉じこもっていて……全部、何でも、一人でやろうと思っていた。周りにそういわれていたわけでもないのに、「自分でできなきゃだめだ」と思い込んでいたし、できないことも認めたくなかった。それを壊してくれたのは武者修行、そして前田塾なんです。

mushashugyo.jp

ずっと一人だった

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僕自身、小さいころから、「ずっと一人だった」という印象があります。いじめられてた、ということではないのですが、そういう気持ちだったことが思い出されます。

漫画を読むのが好きで、特に好きなのはあだち充作品。テレビで見た『クロスゲーム』をきっかけに、有名どころはほぼ全作読んでますね。主人公が努力して強くなって、結果が結びついて行くというストレートなストーリーはもちろん、時間があったら喫茶店に行ってのんびりするような、昭和ののどかな日常の雰囲気がいいなあと思います(笑)。キャラクターの間に少しずつ関係性が育っていく群像劇が丁寧に描かれていることも魅力です。

中高はとにかく自由な学校でした。僕は、生徒会や文化祭など、イベントに関わっていました。学校から1千万の予算を預かって、それを各部活に振り分ける予算委員会という活動では、各部との丁々発止の折衝が面白かったです。

大学では「競技かるた」の同好会に入り、真剣に挑戦しました。医学部だけの部活では交友関係が狭くなるので、全学部のサークルがいいなと思っていたので。秋からの参加だったのに温かく受け入れてくれた皆には今でも感謝しています。大会で日本全国を回り、A級が取れたので引退しましたが、今でも「趣味・特技」と言われれば、「カルタ」。

「玉の緒よ」という札が好きですね。これは「決して明るみに出してはいけない想いだけれども、これ以上生きていたら表に出てしまうのでもう生きていられない」という激情の句で、何か共感できるものがあります。

玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば 忍ぶることのよわりもぞする

式子内親王(89番)新古今集』恋一・1034

ただ、そんなことは試合中は考えないですね。何なら強い人ほどあんまり意識してない印象があります(笑)。試合中はシンプルな音の聴きやすさみたいなことしか頭にありません。それでいうなら、「ゆふされば」の札が好きです。A級に上がった大会の最後の一枚も「ゆふされば」でした。

夕されば門田の稲葉おとづれて 芦のまろやに秋風ぞ吹く

大納言経信(71番)『金葉集』秋・183

 他には、ジム通いが、心身ともに良いリフレッシュになります。数字として記録できるものが好きなんですよ。データで出るから、目に見えて変化が分かる。それがやりがいになります。データとか数字とか、結局好きなんですよね(笑)。

最近は読書も好きで、最近良かった本は孫正義の「志高く」。ビジネス書や実用書をよく読みます。でも、本棚の一番上は、あだち充コレクションです!(笑) バイトするようになってから大人買いして、ほぼコンプリートしています。

このインタビューの「結婚や育児について」という質問事項を見て……思わず目を背けてしまいました(笑)。うーん、ほんとに、難問ですよね。30までに結婚はしたいと思っているんです。でも、子育てができるかどうか。パートナーに丸投げする気はなくて、だからこそ、自分のキャリアプランとの兼ね合いが本当に難しい……。

ちょっとだけ考えて、とりあえず料理はできるようになろうと、ABCクッキングに通ったんですけどね。30回通って、簡単なものなら一通り作れるようになったんですよ……って、問題はそこじゃないんですよね(笑)。でも、とりあえず(笑)。

まだまだ道の途中だけど、人間としてようやくここまでこれた

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前田塾のことは、FBの友達の投稿で知っていました。その友人は幼馴染で、小4の時に彼が転校してそのまま疎遠になっていたのですが、大学生になってからまた出会って、そしたら彼が武者修行・前田塾と参加していたんです。彼がとにかくほめちぎっていたので、武者修行と秋合宿に参加申し込みをしました。

申し込み時点では、知らない領域の学問に出会えることは期待していたけれど、チームで学ぶという手法には、まったく興味がなかったんです。

前ちゃんの第一印象は、「エラいちゃらんぽらんで、ユルい人だな」(笑)。でも、そのあとの講義の時には、「クソみたいな議論しやがって!」って怒られて、「言葉遣いワル!」って思って(笑)。でも、その時は真剣な姿勢の、普段とのギャップに驚きました。

合宿でもそうなのですが、一人一人がどういう状況なのか、どういう段階でどういう性格か、ちゃんと見てくれている人です。一人一人に成長や変化がもたらされるように、働きかけてくれて、そして、チームで取り組むということの意義を教えてくれました。

武者修行を終えて前田塾合宿に参加する時には、チームの力を知っていたので、それをもっと深めたいという意識になっていました。そして、仲間を信頼し、「わからない」を言いあえて、かつてないくらいいいチームワークができ、とても充実した体験だったと思います。

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2019年 秋合宿

以前の僕がまさにそうだったのですが、「自分は一人で何でもできる」と思っている人に、ぜひ前田塾でのチームワークの体験をしてもらいたい。個人のスペックが高いならなおさら、誰かと組んで、チームで学ぶとすごい力になるんです。……でも、個人でわりと何でもできる人ほど、「チームの力」という言葉が響かないんですよねえ~(笑)。学部の友達にも勧めているけれど、「いや、独学の方が早いから」みたいな感じで……。教わらずにできることに価値があると思ってる、というのもあるのかな……。

武者修行や前田塾に出会う前の僕は、「もっと立派な人間に」という思いはあったけれど、それは独力でかなえられる、と思っていたんです。そんな僕に、周囲の、例えばカフェのメンバーが、輪に入れようと手を差し伸べてくれていた。でも僕は、彼らの気づかいや優しさにも、気づかずにいて、あまり大事にしていなかったんです。

ビジネスを学ぼうと思って参加した武者修行と前田塾で、人との関わり方を教えてもらって、そのことに気付けて、そして周りへの感謝が少しはできるようになりました。昔は、「周りに感謝しなさい」とか言われても、「よくある話」や「きれいごと」くらいにしか思っていなかったけれど、少しずつそれがわかるようになって来たかな、と。まだまだ道の途中だけど、人間としてようやくここまでこれた、という思いです。

医学部というのは、専門性が高い分、閉鎖したコミュニティーになりがち。ここに来て、まだまだ知らないことが無限にあることを知った。だから、今はまだ、意識して積極的に、知らないところに足を踏み入れて、もっといろんなところに行きたいと思っています。来年から、トップキャリアコース3期に参加します。どんな仲間に出会えるか、今からとても楽しみにしています。

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「ずっと一人だ」という内面を抱えながら、あだち充の描く日常の風景に惹かれていたという中西さん。複雑に絡み合う登場人物たちの関係性、「チーム」「コミュニティ」という在り方に、憧れに似た直感があったのかもしれません。

自分でなんでもできる人ほど、「誰かに助けてもらう」ためのきっかけを、若いうちに得ることが難しい。相談したり、頼ったりする機会も少なくなりがちです。さらに年を取れば取るほど、人に甘えることができなくなってくる。

殻を破らさせられるような経験を経て肩の力が抜けたとき、「ずっと一人」ではなかったことに気付き、周りにいる他者の存在を感じた。そんなたった数か月前の自分自身を、懐かしむように語ってくれました。

この「変化」は、十年、二十年と年を経るごとに、価値を増してくるでしょう。

「他者とともに在る」ということが、この世界を豊かにしてきました。大切にしていきたいですね。

第14回 岡浦 加奈さん(2013 選抜コース1期生)

今回はなんと、2013年前田塾開講時の生徒さん、つまり1期生の方がご登場。

新卒でベンチャー企業に就職し、外資系戦略コンサルティング会社に転職しご活躍されていえる岡浦加奈さんをご紹介します。

「先に大手、というのはよくあるのですが、私は逆を行きました」その理由も語ってくださいました。[Text: 西岡妙子] 

 伴走できることが成長につながっている 

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外資系戦略コンサルティング会社に勤務して4年目になります。

新卒で、当時20名程度のPR会社に就職し、2年間勤めました。最初の就職先としてベンチャーを志望したのは、自ら提案に関わり受注を受けて制作し、納品し、お金をいただく……そのお金を生み出す流れ全体の経験を積みたかったから。それを体験できそうな規模感の企業を探していて、良い出会いがありました。

そこで様々なお客様のPRやマーケティングに関わる課題解決をご支援しているうちに、その前後の工程にあるような製品開発から営業、またはより上流の経営に関わる課題も見えてくるようになりました。そういった経営全般に関わる課題解決に興味を持つようになったものの、PR会社の看板ではお客様に提案できません。それでより幅広い企業の経営課題に携わるコンサルティング業界へ足を踏み入れることにしました。経営者とともに働きたい、また、海外で働きたいという思いもあり、外資系の戦略コンサルに絞って転職活動をしました。

現在の業務は、プロジェクトベースで、1~3か月ごとにお客様が変わります。テーマはもちろん、業界も変わるので、その都度イチから勉強です(笑)。経営者の方々のお悩みに向き合うわけですから、テーマは簡単なものではないし、苦しいこともあります。毎回もうこれ以上は伸びませんというところまでストレッチをさせられるような感じです(笑)。でも、新たな意思決定がされ、変化が起きる、そのプロセスはほんとにおもしろくて、それに伴走できることが自分の成長にもつながっていると感じます。

様々な業界の方々と協働してきましたが、今関心があるのは「ヘルスケア」分野。日本のみならず、世界中の関心を集めているトピックですよね。デジタル技術の導入や新薬開発をはじめ、海外進出に挑戦する企業も多く、まさに今過渡期だなと思います。

私自身の課題は、現場チームの責任者の一人として、お客様との関係をどう作っていくか、ということ。与えられた仕事をこなすだけでは、満足する結果は得られません。お客様を巻き込み、提言を実行していただけるような流れを作っていく。毎日が挑戦です。

長期的な目標は、日々様々な業界の課題に向き合っているものの、自分の中に明確な原体験がなくて……人生を懸けて「これをやりたい・これを解決したい」というものが見えたら、大きな挑戦をしようと思っています。具体的な人生目標がない今は、むしろ、やりたいことがある人、パッションを持った経営者の右腕として、その人の夢を実現するサポートができたらいいなと思っています。国内外問わず、好きな場所で、好きな人たちと、仕事をしていきたい。夢がある人のサポートができるような武器を身に着けていきたいと思って今の自分を位置づけています。 

 人からの評価指標で 自分の人生を生きていた

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さいころはというと、当時から自立心が強く、一人でどこかに行っちゃう子でした(笑)。幼稚園のころ、必要なお金だけ持って、バスに乗って駅前の本屋さんに本を買いに行ったこともあります。料理をしたり、重い荷物を持ったりする時も、親に手伝わせない子供だったそうです。

大学に入って初めてパスポートを取得したのですが、その5日後には航空券を取って韓国に行ってきました(笑)。両親は、やりたいことにあまり反対せず、自由にさせてくれていましたが……半ば諦めていたのかもしれませんね(笑)。何も言わずに見守ってくれて、本当に感謝しています。

そんな性格ではあるものの、中高時代は真面目で、典型的な優等生タイプでした。勉強ができるという意味で目立ったがゆえに、気づかぬうちに周りの先生からの期待や、勝手に美化された優等生イメージにがんじがらめになっていて。

大学受験に失敗をして、志望校ではない大学に入学した後、偶然大学内で同じ高校の知り合いに会って「あれ、なんであの岡浦さんがこの大学にいるの?」と純粋に驚かれたことがあるんです。その時はひどく挫折感を味わいました。

でも、それがきっかけで「これで挫折感を覚えるということは、結局人からの評価指標で自分の人生を生きているんだな」と気づいたんです。「人からの期待や敷かれたレールを辿ることを自分の目標にすり替えるのは楽だけど、後で振り返った時に自分で考え納得して選んだ道だと思える人生にしないといけないな」と。

大学の友人たちが有名な大手企業に就職する中、あえて無名のベンチャーを選んだのも、こういった経験も繋がっているのだと思います。

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スロベニア ブレッド湖

プライベートは、国内外いろんなところに旅行に行っています。特に思い出に残っている国は、スロベニア。現地の方の家庭に宿泊させてもらったのですが、景色が良くて、人があたたかく、のどかで穏やかで。あくせく働くことがすべてではないと感じました。

社会人になってからは日々、平日は思いっきり働きますが(笑)、土日は月に1回は国内旅行に出かけたり、プロジェクトの合間には海外旅行に行ったり、自分が普段生活の大半を過ごすコミュニティや社会の外に出て、息が詰まらないように、そして視野が狭くならないように意識をしています。

そういった意味では、本も非日常の世界を体験できる一つの手段だと思っていますが、私の場合は基本的には仕事で必要なものを読むことに追われています。仕事関連以外で最近読んだ本の中では、巷で話題の「サード・ドア」がおもしろかったです。それこそ敢えて思い込みのレールから外れることや、人生の価値観について考えさせられました。

生き方として折に触れて読んでいるのは、「白洲次郎 占領を背負った男」という本です。学生時代、進路を考えているときに人に勧められ手に取ったのですが、彼の生き方は本当にかっこよくて、信念を持って生きていく姿にあこがれています。私の座右の銘は「意志あるところに道あり」で、まさに彼はそれを体現しているような生き方をした人なんです。

今後のプライベートについては、周りで結婚や出産を経験する人たちも増えてきて、結婚や出産、育児を自分ゴト化して考えるようになってきました。コンサルティング業界はもともと女性が少ないこともあって、職場にはワーキングマザーはそこまで多くはいません。一方で職場の海外オフィスを見てみると、子育てをしながら普通に働いている女性コンサルタントも多く在籍しています。

会社の制度の云々の問題だけではなく、日本は女性が働くための社会インフラの問題もあって、一人の力でどうにかできるものではないと思うので、いろんな人やサービスの助けをお借りしながら、両立する道を社内で作って、ロールモデルになっていければと思っています。

バックグラウンドが異なる優秀な人ばかりが集う稀有なコミュニティ

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前田塾との出会いは、7年前のこと。1期生になります。前田さんのFBの投稿を見かけて、メッセージを送ったのがきっかけです。

前田さんには、就職活動の時にお会いしていたんです。ベンチャーに就職したいと考えていたけれど、学生の目線では限られた情報の中で企業の良し悪しを判断できなかったので、友人の紹介で前田さんに相談させていただいてたんです。いつも明るい前田さんは、私にとって、ビジネス界のお父さんです(笑)。出会った当時の私が何に悩み、何を考えていたのかを、(私自身すっかり忘れていることまで)数年経った今でも覚えてくださっていたんです。ほんとに真摯に目の前の相手に向き合ってくださる方なんだなと。

当時まだ学生で、社会人になるにあたって、1社目がベンチャーということもあり、世の中の動きや経済、会計の知識など、ビジネスの基本を理解してから入社しておきたいと考えていました。

知識を求めて参加した前田塾ですが、そこで得た友人たちとのつながりは、今でも貴重です。社会人の方も多かったので、「社会人になるって、こんな感じなんだな」とイメージすることができ、いきいきと働かれている姿から、たくさん刺激を受けました。その時の前田塾同期と、転職した先で同期になったり、不思議なご縁を感じています(笑)。

また、人生や生き方について考え、視野を広げるいい機会になりました。全く違うバックグラウンドの、それも優秀な人ばかりが集まった稀有なコミュニティだったと思います。

AIから政治まで扱っているトップキャリアコース、おもしろそうですよね。前田さんからは1期の頃の前田塾とコンテンツも変わっているよ!と伺っているので、ライフステージや社内での立場が変わるタイミングで、世の中のことを学び、スキルを高めるために参加したいと思っています。

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バス代と本代だけを握りしめてたった一人でお買い物に出かけた小さな女の子が、そのまま大きくなり、世界を飛び回って仕事をしています。

今の状況からできることを探すのではなく、「やりたいこと」「在りたい姿」をまず定めて、そこにたどり着くためにとにかく動きます。でも無鉄砲すぎるわけでもなく、使える武器を集め、着実に作戦を練り、必要な荷物だけを持って……。

でもそこに至るまでには、いったん「自分」を見失い、痛い思いも体験して、「自分」に再会し、そして強くなりました。

ジェンダーバイアスが強いといわれている日本で、女性がキャリアを積みながら生きていくのは、なかなか大変なことです。でも岡浦さんは、彼女なりの答えを見せてくれるような気がしています。お話を聞いているだけで、応援したくなりますね。

当ブログの前田塾長の記事を読んで、「『寂しかったから始めた』なんて、全然気づかなかった! ちゃんとしているように見えてましたよ~」とのこと(笑)!

開講から6年、延べ4000名の方に参加いただいている前田塾。まだまだ仲間募集中です! 

 

第13回 森 太一さん(2017秋合宿)

今回は、2017年秋合宿に参加された医大休学中の森太一さんをご紹介します。

止まらないほど話題が広がり続ける楽しいインタビューの中で、質問を投げかけると、「おお、それはおもしろい質問ですね……」とぐっと黙り込んで考え思索に沈む、その緩急の差が印象的でした。

「分からない」を「おもしろい」の入り口ととらえられたら、日々は「おもしろい」だらけです。[Text: 西岡妙子]

隣の芝は青く見えるというのなら、どれだけ青いか見てやろう。

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北海道旭川市にある医大の4年生ですが、実習に入る前に休学して、もうすぐ1年になります。この一年、いろんな経験をしました。

休学をした理由の一つは、医療の未来を見極める必要性を感じたからです。診療の際の意思決定プロセスを考えれば考えるほど、「AIの方が対時間、対報酬あたりでいい仕事ができるんじゃないか?」と、危機感に似た仮説に至りました。

医師が、知識・経験を価値として提供し、報酬を得ているのならば、それはAIで代替可能であり、医師の本質的な価値は最も代替可能なのではないか、と。すぐにその時代が訪れないとしても、自分が医師として働き盛りの時代にはそうなるなと思いました。

「医師に必要なのは知識だけじゃない、人間性やリーダーシップも重要だ」という見方も分かりますが、それはどんな仕事にだって必要なこと。

それで、自分の身の振り方を再考する必要性があるのではないかと考えました。しかし、こんなことを考えている人が周りにいなく、周りがおかしいのか、自分がおかしいのか……について結論がつけられず、とりあえず休学にしたんです。

もう一つの理由は、医学部で勉強を続け、この後研修医、医者となっていくにつれて、専門性が高まる反面、世界が狭くなるな、と感じたことです。視野と可能性を広げて、他の世界も見ておかないと、本気で飛び込めないと思いました。医学は本当に面白い分野なのですが、他のジャンルへの好奇心が止められなかったんです(笑)。隣の芝だから青く見えたのかもしれない。だったら、どれだけ青いのか見てやろう。そんな気持ちでした。

大学3年時に海外ビジネス武者修行プログラムに参加し、戻ってきて休学しました。武者修行を運営する旅武者で、営業インターンをしています。休学してすぐのころには、前田塾の大阪展開に挑戦していました。今は、医療ベンチャーに勤務していて、復学しても業務委託で仕事を続けさせてもらえることになっています。

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その会社で、メンタ―というべき人生の先輩に出会いました。50代の大学教授で、その会社にも勤務し、好奇心を忘れずに、医師としての仕事もとても楽しんでいる先生の生き方を見ていて、大学に戻って医療の道をもう一度目指す決心ができました。

医療問題は、日本最大の課題のひとつ。このまま医療費が高騰を続けると財政は破綻し、現状の保険医療を提供出来なくなることは必至です。そして、高齢者の増加に対応するためには、効率化は必須です。

現在、来るべき超高齢者社会に対応すべく在宅医療が増加しています。一方で、在宅医療等は始まったばかりという部分も多いため、効率化の余地が多分にあるかと考えています。特にデータを用いることでもっと効率化出来るのではないか。そうすれば、医師・患者さん双方にとってより良い医療を届けることが出来るのではないかと考えております。今の勤務先でも、データによる在宅医療効率化に関連した業務を行っています。

とにかく元気が良かった

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年子の弟(左)と。

医大を志したのは、高校生の頃。

中学生のころにリーマンショックがあり、父がそのあおりで苦労していました。それで父は、僕と年子の弟に、「ただ良い大学に行き、良い就職をするというのは意味がない。大学に行きたいなら、目的を持って進学しなさい」と言っていて、大学では何か目的をもって学ぶか、研究をしたいと考えていました。

高校入学時には、宇宙工学に関心があり、高2のときに、JAXAで開かれた5泊6日の「サイエンス・サマー・キャンプ」に参加しました。そこには全国から宇宙好きが来ていて、周りの「宇宙好き度」に負けた、と思いました(笑)。太陽光パネルの美しさについて熱く語ってる同年代のマニアがいて、ちょっと僕にはないな、って(笑)。それで、進路を考え直したんです。

自分にとって大切なことは「自由」。どうすれば自由になれるか、自己裁量を増やして生きていけるか……。「自分に確固たるもの、手に職があればいいのではないか」と考え、医師を目指すようになりました。宇宙にも、医療の側から関わることもできますし。

生まれ育ちは鳥取で、小・中・高と、ずっと野球をやっていました。弟がキャッチャーで、僕はピッチャー。打順は1番が多かったですね。切り込み隊長的な役割です。とにかく元気が良かったからかな。(笑)

大学からは、せっかく北海道に来たんだから北海道でなければできないことを、と思って、カヌー部に入り、川中心の生活を送ってました。北海道には美しい川がたくさんあるんです。やるなら徹底的に、と思って、大学3年の夏まで打ち込みました。

普通のスポーツだと、チームが弱いと「勝てない」や「下手」で終わりですが、カヌーで、「弱い」はすなわち「事故」そして「死」を意味します。だから、安全こそが、部活のキー。チームの力を見極めて、シビアな判断が必要になります。うまい人が多ければ激しい川に挑戦できるし、初心者が多ければ無理はしない。シビアな意思決定をし、難所に挑戦する先輩たちが楽しそうだったので、先輩を目指してがんばりました。水を感じる日々を送り、少しずつ技を磨きました。

身体を動かすのが好きなので、ときどき家の周りや公園を走ってリフレッシュしています。

最近読んだ本で面白かったのは、サマセット・モームの「サミングアップ」というエッセイ。勤務先の先生に勧められて読みました。人生や考え方について鋭く切り込んでいて、長年思っていたことが言語化された部分もあり、すっきりしました。

それから、HBR 10 Must Read Seriesの「Mental Toughness」を今読んでいて、おすすめです。

エントロピーの増大に乗っかって行ったらどうなるだろう?

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前田塾に参加したのは、2017年の合宿が最初です。在学中に参加した武者修行のコミュニティで、「前田塾」というワードが度々話題に上がっていたので、ずっと関心がありました。

自分の中に実務レベルでできることを増やしていきたい。それから、これから生きていく上で、何をやるべきか、大まかな世界地図を得たい、と思ったからです。開講されることを知り、すぐに申し込みました。どんなものか、確かめに行こう、と。

受講して、社会からの情報の取り方、自分なりの咀嚼の仕方、それから道に迷ったときに、どうやって確かめるかその術を学びました。自分で情報を解釈できるようになると、今やっていることや、これからやるべきことの意味が分かります。そのうえで道を選んだ方が、おもしろいのではと思いました。

参加するのは、若ければ若いほどいいと思います。中学生で参加したかったくらいです。大学選ぶときに、自分が何ができて何をやりたいのか、そのためにはどの大学のどの学部なのか、そういうことを考える時間も、情報も不足している。模試の結果や偏差値だけでは、進路を選べるはずがないですよね。

前ちゃんには、一番最初に、ブロックチェーンのことで話しかけたんです。僕の話を聞いて、「こういうこと?」って言い換えて具体に落としてくれて、僕の「知りたい」という欲求に対して、いろんなボールを投げてくれた。そして、分からないことは「分からない」ってはっきり言ってくれるところが、すごいなと思いました。分からないことをごまかそうとする方はたくさんいましたから、率直で信頼できると感じましたし、その「在り方」を学びたいと感じました。

前ちゃんイズムに影響を受けて、大阪前田塾をやったり、ホームパーティーをやってた時期もあります。(笑)旭川に戻るので定期講座への参加は難しいのですが、今後もAI系の講座にまた出たい。

maedajukumath.site

復学後は実習ののち、国家試験に向かって勉強して、ゆくゆくはASEANで働ける医者になりたいと思っています。地域に縛られず、海外で働くことも視野に入れたときに、アメリカの医師免許取得が今は流行っているのですが、このペースではおそらく供給過剰になっていく。ASEANは戦略的に成長している地域であり、何よりも、アジアのエネルギー溢れる感じが大好きです。社会改革のためには医療ビジネスにも関わっていきたいですが、まずは現場を知りたい。

「エネルギー量は増大し続け、やがてカオスとなり、最後は死に至る」というエントロピーの法則を学んだ時に、わくわくするけれど怖いな、と感じました。安全に生きていくためには、エントロピーを抑える方向を目指すべき。でも、「エントロピーの増大に乗っかって行ったらどうなるだろう?」とふと思ったんです。アジアのカオスにエネルギーを感じたように、カオスの中の恐怖を押さえるのではなく、その熱量を利用できたらおもしろいだろうな、って。そのためには、振り落とされず生きていく術を得なければならないし、才覚も必要。まだ若いので、「自分の才覚で食べていく」方向を目指して、エネルギーの増大を感じて生きてみたい。

「広大な宇宙の中で、我々は生まれて死んでいく。人間の小さな人生に意味はない」という趣旨のことが、先ほど紹介したモームの本にも書かれていて、「生きていることに特別意味はない」と、共感しています。意味付けしたいという思いもありますが、「意味がない」が大前提だというのが僕の考えです。

だからこそ、面白いことは、自分で見つけていきたい、面白くしたい。「おもしろき こともなき世を おもしろく」という高杉晋作の句が表しているような在り方で、生きて、切り開きたいと、強く思います。

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「人間たちは、急行列車に乗り込むけれど、自分たちが何を探しているのか分かっていない。子どもたちだけが顔を窓にくっつけて、夢中で外を見てるんだ」

というサン=デグジュベリ『星の王子様』の一節を思い浮かべました。

「世の中はそういうものだから」と納得し、あるいは諦めて、小さな疑問に蓋をして……。そうやって、感覚を麻痺させることに慣れてしまった大人たちにまっ直ぐな問いかけを投げかけるのは、子どもたち。多くの寓話にもそう描かれています。

好奇心を大切に、失敗も成功もひっくるめてのたくさんの体験談。冒険の続きが気になりますね。